_ 早川千絵監督作品。
_ この監督の「PLAN75」が嫌いだったので観る気はなかったが、時間が合う映画がなかったので、ユーロスペースで観た。
_ 「PLAN75」は、陳腐なメッセージ性が鼻についたが、本作はそのようなことはなかった。しかし、反対に何が言いたいのかわからなかった。
_ 11歳のフキの日常を淡々と描く。父親ががんの末期でそれが大きな問題だが、それをめぐるエピソードはいずれも予想可能で意外性はない。小さな事件をこま切れにつなぐ手法はそれなりに評価できるが、カンヌで賞を取るレベルではない。
_ 一番の欠点は、主演の少女が魅力的でなかったことだ。無表情でいるように演技指導されたというが、それで観客を魅了できるのは特別な素材である。どこにでもいる少女を撮りたかったのかもしれないが、それでは商業映画にならない。
_ フランシス・フォード・コッポラ監督の最新作。
_ コッポラも86歳になったとのことで、その歳でこのエネルギーがあるのはすごい。しかし、作品は、混とんとしていて、理解するのが難しい。
_ 近未来の米国と、衰退するローマ帝国をオーバーラップさせた、ニューローマという都市での物語。まず、登場人物の関係がわかりにくかった。シーザー、キケロなどの聞いたことのある名前が出てくるが、ローマ帝国での行動とはつながらない。映画ではシーザーと呼ばれているが、字幕ではカエサルとなっている。
_ マルクス・アウレリウス帝のことばが何回も出てくるが、コッポラが言いたいこととどのような関係があるのかわからない。
_ このように、難解な作品ではあるが、映像はきれいだった。SFというには古めかしい世界で、50年前に製作されたSF映画の趣がある。それがいいと思った。
_ 考えさせられるスプラッター映画。
_ オスカー女優エリザベス(デミ・ムーア)はサブスタンスという薬物で若く美しい肉体を得ることができた。しかし、使用法には条件があり、一週間交代でしか現在の肉体と若い肉体は使えない。
_ 若い肉体を得たエリザベスはスー(マーガレット・クアリー)と名乗り瞬く間に人気者になる。
_ やがてエリザベスはスーに嫉妬することになり、スーはエリザベスが邪魔になる。そこから悲劇が始まる。
_ スーはエリザベスの能力と経験値を有するが、二人は別人格のようだ。スーが活躍している間エリザベスは眠っている。スーが眠っている間は、エリザベスは暇を持て余し、自堕落な生活をする。
_ エリザベスがスーの活躍を自分のことのように喜べれば、不満はなかったのだろう。しかし、子供の成功を喜ぶ親とは違うのだ。
_ エリザベスは50歳という設定だが、デミ・ムーアの実年齢は64歳とのこと。それが、裸体を晒すが、とてもその年齢には見えない。でも40歳以上若いスーと比べると見劣りする。
_ 映画は、サブスタンスの誤用によってエリザベスの肉体が急激に老化していくところを特撮、CGで描く。そして、エリザベスとスーは一体化してモンスターになる。
_ 考えてみると人間の一生なんてこんなものだ。三島が、人生は真っ逆さまの頽落だと言っていたが、三島ほどの想像力を持たない一般の人間は、そんな恐ろしい未来が待っているとは考えない。人間は、どこまでもオプティミスティックなのだ。