_ そもそもロス市警が27年も経って捜査を再開したことをおかしいと思わなければならない。
_ ロサンゼルスの殺人件数は最近減ってきているといえ年間500人近くが殺されている。人口比で言えば東京の10倍以上になる。27年前の事件を蒸し返さなくてもロス市警にはやることはいくらでもある。
_ 警察の使命は市民の身体財産の安全を図ることであり、そのために税金を使う。犯罪は完全に撲滅することは不可能で、犯罪者全員を逮捕することも出来ない。限られた人員と予算で効果を挙げるためにはターゲットを絞る必要がある。その観点からロス銃撃事件を見るとどうだろう。
_ 容疑者も被害者もアメリカ人ではない。加害者を罰することを望む被害者の遺族もアメリカにはいない。容疑者は国外にいてアメリカ本土に来る可能性は少ない。この犯罪を処罰することで類似の事件の続発を防止する効果は期待できない。大体アメリカではだれもこの事件について記憶していない。ロス市警の面子にしても日本の司法にゆだねたので放置してもそれが損なわれることはない。当時の捜査官はほとんどが引退している。要するに捜査を再開するメリットはアメリカ側にはない。
_ むしろデメリットがある。当然のことながら金がかかる。すでにサイパンでの手続きや移送費で税金が使われている。今後の手続きを考えたらとてアメリカの納税者は納得できなかっただろう。さらに日本では解決している事件なので日本の司法当局の面子をつぶす可能性があった。
_ では何故ロス市警は今になって動いたのか。唯一考えられる可能性はこれが別件逮捕である場合だ。こんな推理はどうだろう。
_ アメリカのFBIはある国際的な組織による米国に危害を加える陰謀について捜査していた。その捜査線上に三浦和義という人物が上がって来た。検索したところその人物は27年前の事件の容疑者でその記録はロス市警の倉庫にあった。検討の結果この事件を別件として三浦を逮捕しロスで取り調べることが企てられた。FBIとロス市警は協力して三浦を逮捕した。
_ 三浦和義という稀有な人間を考えた場合このような仮説は荒唐無稽ではない。むしろあれだけの犯罪を考え出した(としたら)そのような人物が平穏な余生を送っていると思う方が変だろう。再チャレンジしようと思っていてもおかしくはない。
_ では今回の「自殺」は何か。自殺なわけはない。
_ 前述の三浦を確保しようとした連中を「追求側」と言う。これに対して陰謀を企てている組織を「阻止側」という。阻止側は米国内にも組織がありその一部はロス市警にも潜入している。
_ 追求側は三浦と取引をし、ロス銃撃事件を不問に付すかわりにロスでの尋問に応じるとの同意を得た。それが三浦のロス移送に同意するという心変わりである。阻止側は尋問を阻止するために強硬手段をとる。それは自殺を偽装するまでもない殺人である。
_ 三浦殺害の事実を知った追求側はどうするか。真実は言えない。この件は無かったことにして別なルートで捜査を継続するしかない。だから発表はどんなに不自然でも自殺でなくてはならない。この偽装はアメリカの国が絡んだものでロス郡検視局も協力する。真実は永遠に闇の中だ。
_ ギャラゴス弁護士が他殺と断じたので面白くなってきた。
_ 前回は大陰謀説だったが今度は本当のターゲットは共犯者だったという「共犯者標的説」を展開しよう。
_ ロス銃撃事件の共犯者、つまりスナイパー、は事件当時20代前半だった。それから27年、その男(または女)は50前後になっていてアンダーワールドの大物になっている。いや政界、財界の大物かもしれない。はたまた元々警察官で今は警察の大物かもしれない。とにかく27年という歳月はチンピラを大物にするに十分な時間なのだ。
_ ロス市警はその大物を追っていたが捜査のなかでその人物がロス銃撃事件のスナイパーだという情報が出てきた。しかし確たる証拠はない。でも三浦が証言してくれればその大物を逮捕できる。大物共犯者を捕らえるためにロス市警は三浦を逮捕し尋問しようとした。
_ 三浦はサイパンで自分の処罰が目的ではないと告げられ、共謀罪で有罪になる可能性もあったので司法取引に応じ、移送に同意しロスで証言しようとした。証言をされては困る大物は刺客を使って三浦を暗殺した。ロス市警は暗殺者が市警の内部にいて公に捜査することで市警内部の問題が表に出ることを恐れ自殺で片付けようとした。
_ 大陰謀説よりありそうだ。